全世界約8億人のユーザーに届くプラットフォームの実現を目指し

グリーは、2010年12月31日時点で総会員数は2300万人を超え、順調に数字を伸ばしているとのこと。その分布も日本全国に広がっており、男女比はほぼ半々だ。RMT
 意外なところでは、30代/40代会員の合計が全体の47%と高く、吉田氏はこれを「新しいメディアを探して、誰よりも早くスマートフォンを入手した人達ではないか」と分析した。またグリーとしても、この層に向けた取り組みを重視しなければならないと述べていた。
 吉田氏は、グリーの国内スマートフォン事業を垂直統合モデルで推進していくべく、以下の3つの軸を挙げる。
 ソーシャルメディアでは、2010年8月にスマートフォンSNSをリリースしたことが取り上げられた。フィーチャーフォンSNSにあった機能を移植したうえで、リアルタイムにユーザーの動向を伝えたり、ソーシャルゲームが遊べたり、各コミュニケーションツールと連動したりといった、スマートフォンならではの機能を持たせているという。
 ソーシャルプラットフォームとしては、WebベースのAPIに沿った仕様で、SDKの提供により、アプリからもWebからも利用できるようにした、「GREE Platform for smartphone」を2011年1月にスタートしたことを例として挙げた。
 ソーシャルゲームについても、グリーでは2011年2月から内製タイトルを順次リリースしている。吉田氏によると、スマートフォンと従来のフィーチャーフォンで、ログイン率や課金率といったユーザー動向の違いはほとんど見られないとのことである。
 そのほか、国内スマートフォン戦略の取り組みとして、アドネットワークビジネスの強化、KDDIとの共同運営によるau端末でのGREEマーケットの共同運営、角川グループホールティングスとの業務提携などが紹介された。
 そうした戦略を支えるスマートフォン技術に関して、「技術の進化そのものがメディアの進化につながる」と、吉田氏は述べる。
 吉田氏は具体例として、iOSAndroid OSの両方に対応したミドルウェアの登場やHTML5の動向、あるいはアプリ内課金といった技術進化を挙げ、それらに対応できるかどうかが新しいメディアを展開できるかに影響すると説明した。
 グリーのグローバル戦略については、先日発表された同社による米OpenFeintの子会社化が記憶に新しいところ。
 吉田氏は、今後スマートフォンを手がけるにあたっては、国内のみならず海外を視野に入れなければならないと述べる。さらに、海外に展開するだけでなく、グリーが、海外のデベロッパが日本に進出する際の窓口となることも考えなければならないと付け加えた。グリーのグローバル展開の基本方針は、国内向けに開発されたアプリを、スマートフォンにフォーカスしながら海外展開していくというもの。
 吉田氏は、北米におけるスマートフォン割合は、2014年には82%に上るとの予測を示し、また、2012年にはスマートフォンの出荷台数がPCのそれを上回る見込みであることに言及した。同時に、スマートフォン用ゲーム市場は拡張見込みであり、2013年には2010年の4.3倍程度の規模に成長する見込みだと述べる。
 そうした状況を踏まえ、プラットフォーム基盤の国内外における共有化、国内デベロッパの海外展開支援などにより、グローバル展開を加速していくと述べた。
さらに吉田氏は、グローバル展開においては、大きな規模を誇る北米市場が非常に重要であり、Open Feintの買収は、国内デベロッパが北米を中心とした海外にスムースに展開できるようにするためだと、その目的をあらためて説明。Open Feintは、ユーザー数や、北米で高いシェアを誇るキャリアと提携しているという点で非常に有利であると述べた。
 ほかにも、中国Tencentや東南アジアのmig33といった有力プラットフォームとの提携により、全世界約8億人のユーザーに届くプラットフォームの実現を目指し、今後も拡大していくという。
 最後に吉田氏は、スマートフォンの普及はこの1〜2年がピークとなり、大きなチャンスであるとともに、乗り遅れるとビハインドになるのではないかと述べた。そして、以下の4点をまとめとして挙げ、講演を締め括った。大航海時代 RMT